目標と目的に向かってチームの方向性を一致させる KPI 設定のための5つのステップ

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トピック :

  • アジャイル・プロジェクト計画

エイブラハム・リンカーンの格言「もし木を切り倒すのに6時間与えられたら、私は最初の4時間を斧を研ぐのに費やすだろう」と同じく、成功するには事前の計画が重要です。

成功するために計画を立てるのは確かに重要ですが、まず、その「成功」はどのように定義すべきでしょうか?チームリーダー、プロジェクトマネージャー、プロダクトマネージャー、その他のパフォーマンス重視の担当者など、その答えはプロジェクトやチームメンバーの立場によって異なります。変化のペースが速い組織では、こうしたパラメータさえも時間とともに進化します。

テクノロジー志向のビジネスにとって KPI が非常に貴重な成功の指標となる理由はまさにここにあります。

KPI とは?

KPI は英語で Key Performance Indicator (重要業績評価指標) の略で、目指す成果に向かって進んでいる箇所を示すことで、個人やチームが戦略的改善を実行するために必要な焦点を与えます。また、偏りなく意思決定を行うための手段としても有用です。

KPI を使用して成功を測定する場合には、望ましいパフォーマンスを目標とします。こうした目標に対する進捗状況は、将来の出来事や結果を先読みする先行指標と過去を振り返り、成果が達成されたかどうかを確認する遅行指標によって測定されます。

例えば、現在の顧客満足度やブランド認知度は、ある製品の先行指標と見なされ、昨年の売上高はすでに起こったことを示すため、遅行指標となります。

つまり、KPI を使用することで、データ主導型の組織は顧客の行動に常に対応できるようになるのです。

KPI は組織ごとに異なり、特定の成果に対応するものでなければなりません。意外にも、自社にとって最も重要な一連の KPI を設定する作業はそれほど複雑ではありません。

KPI の設定方法

会社の KPI を取りまとめるには、戦略的なアプローチが必要です。集中力と規律をもって、KPI 候補が無限に広がらないように作業を行います。

KPI を設定する際は、自社のビジネスの状況に関して最も答えが必要な質問を特定することで、目的を定義します。

1. KPI のコンテキストを確立

ビジネスにおける目標の優先順位付けに関しては、明確さが不可欠です。ここで大切なのは、単なるパフォーマンス指標ではなく、「重要な」パフォーマンス指標を選択することです。

何が「重要」かは、自社のビジネス目標と戦略によって異なるため、KPI を形作る人、対象、理由、方法、タイミングを決定する状況を特定することが非常に重要です。

KPI のコンテキストをシンプルかつ効果的に確立するには、ビジネスモデルキャンバスが役立ちます。

ビジネスモデルキャンバスとは、手元にある最も役立つ情報に従い、ビジネスをどう遂行すべきかを1ページで要約する手法です。2000年代半ばにビジネス理論家の Alexander Osterwalder 氏によって作られた手法で、企業が戦略的な KPI 計画を効果的にまとめるのに最適です。

ビジネスモデルキャンバスの例(オンラインで変更するには画像をクリック)

事業計画のコンパクト版とも言えるビジネスモデルキャンバス。重要な要素には以下が含まれます。

  • 価値提案。実行するすべての取り組みの元となる要素を一文で表現します。自社のミッション、解決したい課題、開発中の製品やサービスなどが該当します。
  • 顧客との関係。ここでは、各顧客セグメントとどのように (またはどこで) コミュニケーションをとり、信頼関係を築き、自社のソリューションが最適な理由を伝える方法を定義します。
  • 顧客と市場セグメント。自社ソリューションから実際に恩恵を受けられる人、グループや組織を定義します。これを見つけるには調査と研究が必要です。
  • チャネル。さまざまなセグメントをすべて特定した後に、やり取りを行い、価値を提供し、顧客がすぐにソリューションにアクセスできるようになる接点を設定します。
  • 主要なパートナー。ソリューションの製造とマーケティングを行い、顧客に提供するには、多くの場合、外部との協力が必要になります。サプライヤー、ディストリビューター、ベンダーなどが含まれます。
  • 収入源と価格モデル。顧客が自社製品やサービスに対して何をどのように支払うかを定義します。買い切りまたはサブスクリプション形式で、費用が確実にカバーされるようにします。

KPI の作成にビジネスモデルキャンバスを使うことで、必要なコンテキストを確立し、成功のために最も重要な指標に焦点を絞れるようになります。 

2. 短期的・長期的な目標を特定

この時点では、目標は定性的なままとします。パフォーマンスの測定方法に焦点を当てて、個人とチームの両方で KPI のブレインストーミングの場を設け、KPI を念頭に次のような質問をしてみましょう。

  • この製品/サービスの発売における理想的な結果とは?
  • この成果が組織にとって重要な理由とは?
  • この成果に向けた進捗を測定する方法は?
  • どのような行動がこの成果の達成に影響を与えるか?
  • この成果に最終的に責任を持つのは誰か/どのチームか?
  • この成果の進捗状況をどれくらいの頻度でレビュー/調整するか?

目標の規模や性質によっては、すぐに担当を割り当てて達成できる (製品名候補を50個以上ブレインストーミングし、最終的に5つに絞り込むなど) ものもあり、こうした目標はすべて、KPI の形成に役立つ理想的な短期的目標となります。対照的に、「発案から製品発売までを18か月で完了」といった目標は長期的な取り組みとなり、より多くの人員、リソース、マイルストーンを追跡する必要が出てきます。

全員で短期・長期の目標を出し合い、まとめたら、カテゴリーに分類していきます。ソリューションのタイムラインに合わせて、プロジェクトのライフサイクル (開始、計画、実行、終了) にそれぞれの目標を合わせて分類します。

3. 各目標につき成功の主要指標を定義 

この段階で KPI 設定プロセスに定量的指標が登場します。組織のマーケティング、営業、財務などの部門にとってどの KPI 指標が最も重要かを特定します。チームがそれぞれ使い慣れている標準的なビジネスパフォーマンス指標を利用するようにします。

  • MRR (月次経常収益)。特に SaaS 企業にとって重要な指標で、予測収益を正規化した尺度であり、現在の財務状況を測るのに役立ちます。例えば、月50,000円を支払う加入者が12人いる企業であれば、MRR は60万円になります。
  • NRR (売上継続率)。MRR と同様に、キャンセル、ダウングレードや収益増加額を考慮した特定期間における経常売上の比率を示します。NRR が100%超であれば成長していることになります。エンタープライズ SaaS 企業の大半は、NRR 125%超を目指しています。
  • CPA (顧客獲得単価)。一般的な指標で、新規顧客を引き付けるよりも既存顧客を維持する方が良い理由を示してくれます。CPA は、顧客獲得にかかった総費用を獲得した顧客数で割って算出します。売上を通じて CPA を回収することで黒字化できます。
  • NPS (ネットプロモータースコア)。顧客ロイヤルティの尺度で、0~10点満点の満足度調査 (0=まったく可能性がない、10=非常に可能性がある) で広く使われています。NPS は、ロイヤルティの高い推奨者 (9~10)、満足している中立者 (7~8)、批判者 (0~6) の3つのカテゴリーに分類されます。
  • 増収率。シンプルかつ効果的にパフォーマンスを測れる指標で、一定期間の売上高を追跡すれば算出できます。例えば、第2四半期を対象期間としたい場合、第2四半期の収益から第1四半期の売上高を差し引き、その数値を第1四半期の売上高で割ります。成長率がプラスまたはマイナスで算定されます。

KPI 測定に使える標準的なビジネス指標には、他にも、コンバージョン、営業施策と維持によって獲得した顧客の割合、競合他社に奪われた顧客に対する維持顧客の割合、顧客の関心やニーズの変化、製品への不満などがあります。

多くのカスタマーサクセスマネージャーやプロダクトマネージャーは、次のような、販売・リリース後の製品の使用、インタラクション、好感度を測定する標準的な製品パフォーマンス指標も使用しています。

  • 機能の使用。製品機能を操作するユーザーの数を表す一般的なユーザーアクティベーション指標です。使用しない機能があると知覚的な価値が低下し、その逆も同様です。
  • 製品の採用 モバイルアプリまたはウェブアプリのユーザーアクティベーションを測定する値です。
  • セッション内のユーザーアクション。ユーザーがサイトにアクセスした際に、セッション内のページビュー、クリック、動画再生など、どう関与したかを示す尺度です。
  • DAU。製品導入後の日次アクティブユーザー数、または、アプリ入手後にアプリに関与する顧客の数を指します。特定の日にアプリを開いたか、表示したかで判定します。
  • MAU月間アクティブユーザー数を意味し、1ヶ月間の DAU の合計を指します。

KPI をパフォーマンス面で測定する方法を探す際、調査に役立つ指標は無数にあります。製品、サービスやソリューションに最も関連度が高く、実用的な洞察を提供してくれる指標を選択しましょう。

4. 製品ロードマップに KPI を追加 

追跡しないものは測定できません。押し入れにしまってしまった運動器具のように、日々の(たとえ1時間ごとでも)改善を行うために KPI を頼りにしている人たちから見えないところに KPI を設置しても、あまり役に立ちません。

可視性とプロジェクトの連携を強化するには、KPI を製品ロードマップに盛り込むのがおすすめです。その名のとおり、製品ロードマップは、チームが2点間を移動するのに役立つツールですが、この場合には、目的地や場所ではなく、製品の開発段階を時間の経過とともにプロットしていきます。

ロードマップは、チームが数週間または数か月先のあるべき姿へと製品を発展させる方法を視覚化し、さらに進捗状況について全員が足並みを揃え、最新情報を共有するのに役立ちます。このため、オンラインかつインタラクティブで、チームメンバーがアクセスしやすいロードマップがベストでしょう。

ロードマップの例(オンラインで変更するには画像をクリック)

5. チームミーティングで KPI を参照

データ主導型でパフォーマンス重視の職場において、KPI は、プロジェクト計画セッション、キックオフミーティング、部門会議、四半期ロードマップ、年次報告書などで積極的な役割を果たします。KPI を頻繁に参照することで、意義のあるビジネス目標に向け、焦点を絞るべき箇所を明確にし、進捗を強化することができます。

従業員が年間目標を設定するときにも、個人的な成長を測定する手段として KPI を参照する必要があります。こうすることで、個人個人のタスクが全社的な KPI に確実に沿っていることを確認できます。

組織内で KPI が製品開発過程の一部となると、KPI の作成がごく自然なプロセスになります。提供するソリューションのビジョンが詳細であればあるほど、製品やサービスの KPI も設定しやすくなり、変化に適応できるようになります。

長期的な成功に向けて KPI を活用

KPI はツールであり、ルールではありません。期待するパフォーマンスと成功を絶えず KPI が推進できるよう、定期的に KPI を見直しましょう。現在の KPI は今も業務との関連度が高く、ビジネスと整合性があるものでしょうか?時間の経過とともにプロジェクトが進化したり、ビジネスの戦略が転換したりする中で、KPI にも変更が必要となる可能性があります。 

KPI を変更する場合は、変更の事実と調整を行う理由を必ず伝えるようにします。チームや組織は、測定対象、それらの指標を使用する目的、全体的な戦略に指標がどう関連しているかを正確に理解することで、KPI を最大限に活用できるようになります。

Lucid を使用してチームの KPI を追跡し、共有しましょう。

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Lucidspark について

クラウドベースのバーチャルホワイトボード、Lucidspark は、Lucid Software のビジュアルコラボレーションスイートのコアコンポーネントで、チームが集まり、ブレインストーミング、共同編集、グループでまとめた思考を実行可能な次のステップに統合するための作業をすべてリアルタイムで行える最先端のデジタルキャンバスです。Lucid は、Google、GE、NBC Universal などの顧客や、Fortune 500 企業の 99% を始めとする世界中の主要企業にサービスを提供しています。Lucid は、Google、Atlassian、Microsoft などの業界の主要企業と提携しており、創業以来、製品、事業内容と企業文化を称える各種の賞を多数受賞しています。詳細は lucidspark.com を参照してください。

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