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クラウドデータ移行

クラウドへの移行から得られる重要な学び

読み取り時間 : 約1分

ほとんどの企業にとって、クラウドへの移行は不確定要素の多い一大プロジェクトです。クラウド移行戦略の立案から準備、アプリケーションの再構築、実際の移行過程に至るまで、問題が起こりうるポイントは無数にありますが、適切な準備をしておけばうまく行くことも多いのです。大抵の場合で、計画通りに進むこともあり、うまく行かないこともそれなりに出てくるでしょう。

ここで一つポジティブな点は、学ぶ姿勢さえあれば、クラウドへの移行の成功からも失敗からも学ぶことは大いにあるという点です。

実体験に勝る学びはありません。移行後は、自社のクラウド移行チームが社内でのクラウド移行に関する専門家となります。ただ、移行で得られた知識を積極的に収集し、文書化しておかなければ、そのほとんどはいつの間にか消えてしまうか、チーム内に留まったままになってしまうでしょう。

この記事では、クラウドへの移行から知識を得て共有するための戦略やこの際に一般に得られる教訓を説明し、データ移行の経験を最大限に活かすために知っておきたいことについて紹介します。

クラウドへの移行に対する期待と現実

オンプレミスからクラウドへの移行を行う企業の多くが、プロセス自体や移行の成果への期待が (少なくとも移行完了の時点では) 十分に満たされないという体験を共有しています。

これからクラウドへのデータ移行を始めようとしている場合やすでにデータ移行を始めている場合にはあまり聞きたくない話だと思いますが、幸い、解決策は2つあります。

最初は、期待値を下げること。クラウドへの移行プロセスを悲観する必要はありませんが、あくまで現実的に捉え、自分なりに調査を行い、時間をかけて綿密なクラウド移行戦略を立てるようにします。準備をするほど、現実的に期待すべき内容がわかってきます。

次に、前のステップとも密接に関係していますが、他社の経験から学ぶこと。上述のとおり、ほとんどの企業は期待値の未達というある種の失望を経験します。似たような失敗を避けるには、そうした失敗を考慮に入れて移行を計画するのが一番です。他社でのクラウド移行プロセスを参考に、うまく行ったこと、行かなかったこと、期待が達成できなかった部分などを見極めます。現実的な視点を持つには実例から学ぶのがベストです。

以下では、クラウドへのデータ移行の実態が期待と異なってくる点をいくつか参考に挙げてみました。

コスト: 多くの事業上の意思決定の原動力となるのがコストであり、クラウドへの移行も例外ではありません。多くの企業が、IT システムやプロセスのメンテナンスコストの削減を期待してクラウドへの移行を開始しています。

クラウドベースのシステムやアプリケーションはオンプレミスのシステムやアプリケーションに比べてコスト面で有利な場合が多いですが、必ずしもそうとは限りません。コストメリットを実感するにはアプリケーションやシステムをクラウド用に最適化する必要があり、これには時間とコストがかかります。費用面でのクラウドベースのアプリケーションの真のメリットは不要なストレージに費用を払う必要がないといった拡張性にありますが、この機能を活用するにはアプリケーションをクラウドに最適化することが欠かせません。

したがって、クラウドへの移行が本質的な企業のコスト削減に直結するわけではなく、コストメリットを長期的に得るためには、アプリケーションをクラウドに最適化するための先行投資が必要となります。

セキュリティ : クラウドサービスプロバイダーは世界中の数千社の企業のデータを保管しており、クラウドへ移行する企業が増えるにつれ、その数も増え続けています。ここで問題です。「クラウドベースのアプリケーションは安全だから自社の IT チームがセキュリティを心配する必要はなくなる」- これは正しいでしょうか。正解でもあり、間違いでもあります。

クラウドへ移行するということは、自社のデータを他人の手に委ねるということを意味し、これには常にリスクがつきまといます。あまりに多くの企業がベンダーのセキュリティを信頼して移行後は何もしていない状況です。

クラウドへ移行すると、クラウドサービスプロバイダー (CSP) がセキュリティに関する責任の大半を負いますが、データを確実に保護するために、自社でできることやすべきことはこれ以外にもたくさんあります。クラウドのセキュリティを最大限に高めるには、こんな戦略を取り入れましょう。

  • CSP のセキュリティ対策を十分に把握しておく
  • 最新のセキュリティ脅威の情報を把握しておく
  • セキュリティ侵害が発生した場合のプランを用意しておく

必要な専門知識 : チームメンバーを信頼することは決して悪いことではありません。従業員に大きな期待をすれば、その期待に応えてくれるかもしれません。ただ、チームメンバーへの期待は現実的なものでなければなりません。つい、自社のチームにはクラウドへの移行に必要な知識や経験があると信じたくなりますが、実際にはそうでない場合もあります。これを認めるのは簡単ではありませんが、しっかりと認識しておくことが大切です。

自社のチームだけでまったく追加支援なしにクラウドへ移行できる、言い換えれば、自社のチームが移行に必要な専門知識をすでに持っていることを期待している企業が多いのが現実です。

実際には、オンプレミスからクラウドへのデータ移行では、クラウドセキュリティと移行の専門家が一般的に必要となります。移行後には会社の構造も変わってくるため、新しい役職が必要となったり、役職の内容が進化することもあるでしょう。人材の新規採用が必要となることもあります。

ベンダーロックイン : こんな状況を思い浮かべてみてください。選択肢を検討した結果、すべての要件を満たすクラウドサービスプロバイダーが見つかり、価格やセキュリティ面でも問題なく、アプリをこのプロバイダー環境に移行する準備が整いました。この時点で、アプリはすべてそのプロバイダー向けに最適化されています。選択したベンダーに満足していれば、ベンダーロックインの問題は起こらないはずですが、現実にはそう簡単にはいきません。

永遠にそのプロバイダーに満足していられるとは限りません。数年のうちに価格改定もあるでしょうし、セキュリティ侵害が起きるかもしれません。それ以外のさまざまな理由でプロバイダーを変更したいと思うこともあるでしょう。アプリを特定のプロバイダーのみに最適化していると、変更のプロセスが非常に大掛かりなものになりかねません。

クラウド移行プロセスをチームで検証する

クラウドへのデータ移行から得られた重要な知見を抽出し、文書化する際には、コミュニケーションとコラボレーションが重要です。頻繁に顔を合わせるようにしましょう。クラウド移行戦略を立案する際にも、移行の開始時点にも、移行中にも、問題が発生した場合にも、逐一ミーティングの場を設けることが大切です。ミーティングでは必ず、話し合った内容を綿密に記録するようにします。

見逃されがちですが、移行の完了後にもミーティングを行うことが非常に重要です。移行プロセスでチームメンバーが得た経験は、それぞれの役割と責任によって異なり、各自が少しずつ違った知識を得てプロセスを終えることになります。移行後にはクラウド移行レビューミーティングを行い、メンバーごとにサイロ化された知識の棚卸しをします。

このミーティングには、移行プロセスに携わったメンバー全員が必ず参加し、チームとして得られたすべての知識を文書化することを目指します。参加者に数日前に予告しておいた上で、プロセスから学んだ重要な教訓をブレインストーミングすればベストでしょう。付箋をグループ化した Lucidspark ホワイトボードを事前に用意しておき、アイデアを分類すると便利です。

このミーティングで作成した文書が、クラウドのメンテナンスやサービスプロバイダーの変更など、今後の作業に大いに役立ちます。

クラウドへの移行から得られる主な教訓

ここまで、クラウドへの移行に対する期待と現実に加え、クラウドへのデータ移行から得られる知識をまとめるための戦略について説明してきました。ここからは、そうした知識の内容、つまり、クラウドへの移行から得られる共通の重要な学びについて見ていきましょう。

クラウドへの移行のあり方はそれぞれに異なりますが、多くの企業に共通する経験もあり、こうした経験からは貴重な教訓が得られます。代表的なものを以下にまとめました。

  • クラウドへの移行コストを考慮に入れる : クラウドへの移行では、運用コストの削減といった最終的な目標につい目が行きがちになりますが、移行自体に伴うコストも考慮が必要です。アプリケーションのリファクタリングや再構築は容易でなく、時間と費用がかかります。
  • 必要となるクラウド移行ツールを評価する : 移行プロセスに入る前にスムーズな移行のために必要となるクラウド移行ツールを慎重に検討します。具体的には、CSP が提供するサービスや、チーム内に新たな役割を作って人材を配置することが該当します。
  • モメンタムを確立して維持する : クラウドへの移行は一夜にして実現するものではありませんが、無駄に長引かせる必要もありません。チームがモメンタムを確立できるよう野心的で、かつ燃え尽きない程度に現実的な目標を設定するようにします。
  • 共同で戦略を立案する : スムーズな移行を実現するには、クラウド移行戦略の立案が最も大切です。戦略は一旦決めたらそれで終わりではありません。移行プロセスの過程で定期的にミーティングを行い、メンバー全員の意見に基づいてクラウド移行戦略を調整していきます。
  • データのセキュリティに配慮する : 自社のセキュリティ要件、CSP のセキュリティ基準、セキュリティ基準を満たすためにチームがすべきことなどを移行プロセスを開始する前に必ず確認しておくようにしましょう。

チームが得た重要な学びを信頼できる情報源に一元化したら、これを頻繁に参照し、更新もその都度行うようにします。クラウドへの移行は継続的なプロセスであり、最初の移行が完了した後にも、アプリケーションの調整やプロバイダーの変更など、クラウド環境に変更を加えることがあります。こうした変更の内容と得られた学びを忘れずに文書化することが大切です。

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