ベストセラー作家のルイーズ・ヘイはこう述べました。「私は、問題を解決するのでなく、考え方を変えます。そうすれば、問題は自ずと解決するのです」この言葉はあらゆる状況に当てはまります。例えば、顧客が自社製品に何を求めているか分からない場合などにも、思考法を変えてみれば、解決するかもしれません。
この記事では、ビジュアルシンキングとデザインシンキング(ビジュアル思考・デザイン思考)の2つの思考法を比較し、組み合わせて補完することで顧客を満足させる製品を設計し、生産するための方法を考えます。
ビジュアルシンキングとは?
最近、交通標識を目にしたときのことを思い出してみましょう。何らかの単語が書かれていたとしても、その前に色、形やアイコンなどの情報が目に入ったのではないでしょうか。これは、アイデアをすばやく伝えるビジュアルの力を示す視覚化の好例といえます。
あるいは、クラウドアーキテクチャ設計の説明がステークホルダーに伝わらないとき。図を描いて意味を伝えてみましょう。上手くなくてもいいのです。単純な図形や線を描くだけでも、言葉だけでは表現できない複雑なアイデアが大いに伝わりやすくなります。
大半の人が視覚的に物事を考える傾向にあります。ビジュアルを使うことで、情報をスピーディに処理し、長期にわたってその情報を思い出せるようになります。また、アイデアを整理して形にすることで、見る人にとってもその背後にある思考が理解しやすくなります。
ビジュアルシンキングでは、一般にホワイトボード、紙 (実物またはバーチャル) に描いた絵、フローチャート、プレゼンスライドなどのツールが使われます。こうした視覚化ツールを使うことで、情報を分かりやすくプレゼンし、オーディエンスからよい質問や提案を引き出し、コラボレーションの確度を高めることができます。
デザインシンキングとは?
ビジュアルシンキングが画像を使って思考を整理し、新しいアイデアを生み出す方法であるのに対し、デザインシンキングは、具体的な問題の解決に使われるプロセスとして確立されたもので、顧客と顧客が抱える問題点をよりよく理解するために役立ちます。こうした理解を基盤として、ポジティブなユーザー体験を生む成果物を仕上げることができます。
デザインシンキングのプロセスには以下の5つのステージが含まれます。
- 共感 : ユーザーを念頭にデザインを進めます。ユーザーの求めるものや考えを想像するだけでなく、実際に会って話を効いてみましょう。ユーザーを知ることで、その問題を理解することができます。
- 問題を定義 : 顧客から集めた情報を使い、修正すべき問題を定義します。
- アイデアを出す : 特定した問題の解決につながるアイデアをブレインストーミングします。規模の大小や複雑さに関係なくあらゆるアイデアを記録することで,すべての選択肢をもれなく検討し、適切な解決策に絞り込むことができます。
- プロトタイプ化 : ユニークな解決策がいくつか見つかったら、プロトタイプを制作します。機能やフローに着目し、前進させるべき解決策を決めます。
- テスト : 最善のソリューションをリリースし、包括的にテストします。
必要に応じてこのプロセスを何度も繰り返します。テスト段階から定義段階やその前の段階に戻ることもあり、非線形で反復的なプロセスとなります。多くのユーザーに受け入れられるソリューションをリリースするまでには、何度も繰り返す必要が出てくるかもしれません。
デザインシンキングプロセスでビジュアルを活用
デザインシンキングのプロセスを支援し、強化するためにビジュアルシンキングの手法を使うのは、自然な流れと言えるでしょう。ビジュアルを活用するデザイナーは、ユーザー調査やソリューションの提案につながりを持たせ、新たな洞察を盛り込み、提案を明確にすることで、チームメンバーやマネージャーなど、ステークホルダーとのコミュニケーションをより効果的にすることができます。
デザインシンキングの各段階で、アイデアに肉付けし、他の人に案を理解してもらう上で、ビジュアルが役に立ちます。
共感する
ビジュアルシンキングは、顧客とその製品の使用方法のよりよい理解にもつながります。ビジュアルは、ニーズに合わせて簡単なものでも複雑なものでもかまいません。ユーザー体験を明確に表せるものを作成しましょう。
これを念頭に、以下の方法を試してみましょう。
共感マップを作成
共感マップは、顧客を中心とした正方形で作成します。この正方形を4つの象限に分けて、顧客の「発言」「思考」「行動」「感覚」を検証します。顧客のニーズに着目したマップで、調査データを分かりやすい視覚的なプレゼンに落とし込むのに便利です。
ユーザーペルソナを作成
ユーザーペルソナで理想的な顧客の姿をビジュアル化すると、対象オーディエンスをより深く理解できるようになります。現在の顧客の行動を観察し、インタビューするプロセスを通じ、顧客の実像、その主な目標、目標達成を阻むものが見えてくるようになります。
カスタマージャーニーマップを作成
カスタマージャーニーマップは、製品またはサービスと顧客とのやり取りや体験をビジュアルで示したものです。顧客は、メール、ソーシャルメディア、オンラインショップや実店舗などを通じて、商品やブランドと関わります。
こうしたやり取りを顧客の視点からビジュアル化することで、顧客体験の全体像を掴み、顧客の対応漏れがないようにすることができます。
問題を定義
解決すべき問題の特定に役立つビジュアルにはさまざまなものがあります。ブレインストーミングでアイデアを出し、パターンを見出し、関連するつながりを作るのに役立つツールを使ってみましょう。情報をビジュアル化すれば、ステークホルダー全員にとって、問題解決がさらにスムーズになります。
特性要因図 (フィッシュボーン図、石川図)
問題の潜在的な原因を分類し、根本原因を突き止めるのに役立つ図です。ブレインストーミングや分析を行うことで、問題の根本的な解決策を見出すことができます。
マインドマップ
マインドマップは、ブレインストーミングやデータの収集・整理に適したツールです。通常、キャンバスの中心に概念を置き、そこから関連するアイデアをブランチで伸ばしていきます。一つ一つのアイデアからブランチを伸ばしてアイデアを追加します。そのすべてのアイデアが中心の概念に収束します。厳密な構造にこだわらず、視覚的にブレインストーミングするのに最適な方法です。
現在と将来の状態をマッピング
まず、顧客の現状を視覚的にマッピングします。現在、製品をどう使用しているか、使用方法は効率的か、時短につながる重要な機能が見逃されていないか、障害はないかなど、現状のデータを収集した後、顧客のニーズや不安の解消のために将来的にどのような製品にすべきかをマッピングします。
アイデアボードでコラボレーション
アイデアボードとは、その名の通り、アイデアを記録するためのスペースで、会議室のホワイトボードやガラス壁、クラウドからアクセス可能なバーチャルキャンバスなどが使われます。
アイデア出し
アイデア出しの段階では、スケッチや落書きをしたり、アイデアを付箋に書いてまとめたりするだけでも、脳の違った部分が活性化され、どの情報が最も重要かが 見えやすくなります。
活発に議論を進め、クリエイティブで独創性の高いアイデアを多数集めるには、チームでデジタルホワイトボードを使ってみましょう。

次のアイデア出しセッションを最大限に活用するためのヒントをチェックしてみましょう。
もっと読むプロトタイプ
ワイヤーフレームなどのビジュアルモックアップは、アイデアをプロトタイプ化し、実世界で機能するか、フローに問題がないか、顧客にとって意義あるものかどうかを確認するのに最適です。
製品の機能をイメージするには、視覚的なプロトタイプを使うのがよいでしょう。紙上のスケッチからデ ジタルキャンバスに作成したワイヤーフレームに至るまで、さまざまなプロトタイプがあります。ワイヤーフレームでは、シンプルな図形や線を使って、ボタンやアクション、インターフェイスの大まかな流れを示します。
テスト
テスト段階では、製品を改良・改善するためのアイデアをビジュアルで表現することができます。
多彩に使えるデジタルホワイトボード、Lucidspark を試してみましょう。世界のどこからでもリアルタイムでアイデアを取り込んで共有することができます。コラボレーションに最適な Lucidspark なら、顧客の問題点の解消につながる最高のアイデアをチームで検討し、絞り込んで、Lucidchart へエクスポートしてワークフローやワイヤーフレームなどのビジュアルに仕立て、アイデアを形にすることができます。

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