戦略計画

戦略計画とは?戦略の落とし穴とその克服法

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もしも全国縦断の旅に出るとしたら、成り行きまかせに進む楽しみも味わいながらも、最低でも行き先と移動のスケジュールくらいは決めておきたいと思いませんか?

戦略計画もこれと同じです。来月、来四半期、来年など、戦略計画の対象期間はそれぞれ異なりますが、目指す目標と成果に到達するには、今日、来月、来四半期に実行すべきアクションを決めておくことが大切です。

「戦略計画と戦術の実践を混同している人が多いですね」と NewEdge Growth の CEO を務める Mark Kelly 氏は語ります。「明日すべきことに気を取られすぎて大局観を失い、適切な方向に向かっているかどうかが分からなくなりがちです。」

戦略計画で起こりがちな問題や落とし穴と、それを避け、克服する方法を見ていきましょう。

戦略計画によくある課題

戦略計画につきものの課題としては、責任感の欠如、コミュニケーション不全、全体的な合意の欠如、導入の遅れの4つが挙げられます。こうした課題の本質を理解した上で、解決に取り組むことが大切です。

責任感の欠如 

戦略の効果を高めるには、部門や職務の壁にとらわれない、組織全体からのフィードバックが欠かせません。ただ、まとまりのない戦略計画とならないよう、責任を持って最終的なまとめと記録を行い、戦略を実行する人が必要です。

clean.io のマーケティング担当バイスプレジデント、Kathleen Booth 氏は、戦略計画の最大の問題のひとつに、責任感とやり切る意思の欠如があると説明します。また、戦略の計画過程で定義した目標を達成するには、優先順位を明確に見極め、それに注力することが大切だとし、こう説明します。「経験上、OKR (目標と主要な結果) フレームワークを使い、確実に貫徹できるよう目標と主な結果をそれぞれオーナーに割り振る方法がベストだと思います。」

コミュニケーション不全 

ビジネスでもプライベートでも、問題の根幹はコミュニケーション不全にあることが一般的です。効果的なコラボレーションの実現は、戦略計画プロセスを進める上で最も重要度が高く、また困難度も高いテーマですが、組織が大きくなればなるほど、必要な情報やフィードバックをもれなく集めるのが難しくなります。また、コロナ禍などの事業に混乱をもたらす事象により、戦略計画とコミュニケーションがさらに困難となります。デジタルでのコラボレーションやホワイトボードツールを活用していない場合はなおさらです。 

全体的な合意の欠如

質の高い戦略計画が完成しても、戦略面での合意が取れていなければ役に立ちません。こうした合意を形成するには、まず組織全体での共通認識を確立することが大切です。Metrikus and AirRated のマーケティング責任者である Charlotte Laing 氏はこう説明します。「全体像を掴み、課題を認識し、最も合理的な方向を定めるには、組織のあらゆる部門、あらゆる階層からのインプットが必要です。」

導入の遅れ 

ここまでに挙げた落とし穴をすべて回避して、組織内で支持を勝ち取り、強固な戦略計画を立てたとしましょう。でももし、それを誰も実践してくれなかったとしたら? 

急成長を遂げる企業では、イノベーションの実現を最優先として、タスク、役割やチームが常に変化するため、数週間を投じて練り上げた戦略計画が施行後すぐに陳腐化してしまう事態も珍しくありません。計画の導入に遅れが生じると、瞬く間にその内容が実情に適さなくなり、日々のプロセスや優先事項にそぐわない状態となります。 

戦略計画にありがちな問題を回避する方法 

こうした問題は、確かに戦略計画において注意したい点ではありますが、解決策も多数あります。以下のような方法を社内で試してみましょう。

ビジュアルで事業戦略をシンプルに構築 

事業戦略をビジュアルで構築し、広めるにはいろいろな方法があります。中でも、以下の GOST (目標、目的、戦略、戦術) ツールは構造的な戦略計画の作成のため多くのリーダーに活用されています。

  • 目標 : まず、達成したい目標を定めます。目標のない戦略計画は絵に描いた餅のようなものです。
  • 目的 : 目標に即した SMART (具体的、測定可能、達成可能、関連性が高い、時間制約がある) な目的を設定します。
  • 戦略 : 各部門で戦略を定めます。目的のそれぞれにつき、達成のための方法を3つずつ定義します。
  • 戦術 : 部門と個別のグループ、戦略のオーナーが共同で設定します。戦略のそれぞれにつき、期間内に実践するための戦術を3つずつ定義します。前述の Kelly 氏によれば、こうすることで、計画が業績にどのような影響を及ぼすかが見渡せ、年間を通じて進捗状況を追跡できるようになります。

こうして定めた戦略や戦術を、分かりやすく、目指す成果に向けた全社的な理解を織り込んだ、包括的な戦略マスタープランにまとめます。

状況に合わせて柔軟に変更できる戦略計画を作成 

計画を厳密に実行することが必ずしも効果的とは限りません。状況の変化に合わせて柔軟に対応できる戦略計画こそがベストです。 

戦略を実行する中では、市場環境が変わることもあれば、新しい情報が戦略アプローチの一部に影響することもあるでしょう。こんな場合でも、戦略を破棄する必要はありません。「戦略を変えるような要素が出現したら、計画を変更するだけのことです。」Laing 氏はこう続けます。「それまでは上手く行っていたからといって、サンクコストに囚われないこと。ゲームのルールが変わったことを認識して、前に進むことが大切です。」

規模の拡大を念頭にリソースを配分

先進的な企業経営を目指す上では、会社の成長に合わせて柔軟に規模を拡大できる戦略計画を作成することが望ましいでしょう。計画の立案時には拡大に際してリソースをどう使っていくかを考慮することが大切です。戦略計画の実行で成長と規模の拡大が実現できれば願ったりですが、最終的に目指す規模感が念頭にないと、パイロット段階を超えて計画を実践することが難しくなります。 

効果的なトレーニングを設計して実施

戦略の変更で混乱や不和が生じることもあれば、逆に新しいエネルギーが吹き込まれることもあります。ポジティブな変化につなげるには、教育とトレーニングの機会を設け、成功に向けてチームメンバーに新たな戦略的方向性を伝えることが大切です。トレーニングの企画と実行には手がかかりますが、後で社の戦略を何度も繰り返すよりも効率的です。 

急がず、データと分析を活用してしっかりとした計画を作成 

信頼のおける戦略計画を構築するには、データを組み込む必要があります。直感のみに頼る計画には誤った意思決定を招くリスクがあります。コロナ禍のような不確実な時勢においては、過去の前提が応用できないため、データの活用も難しくなります。こうした状況では、迅速にデータのテストを行い、データに基づいてターゲットとなる市場や優先事項を判断することが有効です。

「新たな現実に対応できない古いデータに頼ってしまうという誤ちは実際によくあることです。過去の直感にもそれなりに意味はありますが、議論と意思決定の基盤となるのは常にデータであるべきです。」Flywheel Consulting で CMO、アドバイザーとコンサルタントを兼任する Alon Waks 氏はこう語ります。「現状を反映したデータで計画を練り直すことが重要です。」

コミュニケーションとコラボレーションを大切に 

計画のプロセスでは、規模の大小にかかわらず、あらゆる戦略的な意思決定にチームメンバーを交え、全員が認識を共有できるようにしましょう。決定後に変更箇所だけを伝えるのではなく、30分ほどのミーティングの場を設けて変更案について議論し、新しい計画を皆で作っていきます。ミーティングは小会議室でモデレーターを指名して行い、参加できない人のために録画しておくようにします。Laing 氏によれば、こうすることで、「チーム全体が戦略についての理解を深められる上、意思決定の質を上げることもできます。」 

戦略計画のプロセスで効果的なコラボレーションとコミュニケーションに配慮することで、計画が完成し、公開した後の支持も得られやすくなります。「一人ひとりが社の方向性に影響を及ぼしていると感じられるようになります。」Kelly 氏はこう説明します。

戦略の実践後にはフォローアップと評価を

戦略計画に「完成」の二文字はありません。計画を実践する中で、成果を評価し、反復して最適化していくことが重要です。自社の目標に即した KPI を明確に定め、いつ成果を実現できそうか、現実的な期待値を設定し、事後対応のための時間も忘れずに見積もりましょう。こうすることで、新しいアイデアを実践に移しつつ、優先順位の再検討が必要なタイミングを見極めることができます。

戦略計画は一筋縄ではいかないもの。その過程では落とし穴に嵌る可能性もままあります。ただ、適切なツールを用意し、戦略的なアプローチで取り組むことで、こうしたリスクを排除し、組織の将来につながる計画を実践することができます。

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