vrio フレームワーク

VRIO分析とは?やり方やメリットを具体的な事例で解説

読み取り時間 : 約12分

トピック :

  • 戦略計画

VRIO分析とは?

VRIO分析は、企業の競争優位性を評価するための体系的な手法であり、企業が保有するリソースの価値や希少性、模倣の難易度、組織の整備状況を分析することで、競争力を生み出す要因を明確にします。このプロセスを通じて、どのリソースが競争優位性の源泉となっているのかを把握し、企業はその強みを最大限に活用できるようになります。

VRIO分析の読み方

VRIOは「ヴリオ」と発音し、フレームワークに含まれる4つの要素の頭文字を取ったものです。それぞれの要素を評価することで、自社のリソースが競争優位性を生み出すのにどれほど貢献しているかを明確にすることができます。

VRIO分析の要素

VRIO分析は、企業が保有するリソースや能力が競争優位性をもたらすかどうかを評価するためのフレームワークです。この分析は、以下の4つの要素に基づいています:

1. 価値(Valuable)

リソースが企業にとって価値があるかどうか。

2. 希少性(Rare)

そのリソースがどれだけ希少であるか。

3. 模倣可能性(Imitable)

他の企業がそのリソースを模倣するのがどれほど難しいか。

4. 組織(Organized)

企業がそのリソースを効果的に活用するための組織体制が整っているか。

次に、VRIOの各要素について詳しく見ていきましょう。

1. 価値(Valuable)

リソースが企業にとって「価値があるかどうか」を評価する要素です。具体的には、次のような問いを自問します:

  • このリソースは、私たちが市場機会を活かすために役立つか?
  • 市場の脅威から企業を守るために機能するか?
  • 顧客にとって魅力的で、競争優位を生み出すか?

これらの問いに対して「はい」と答えられるリソースは、経済的価値があり、競争力を発揮する可能性が高いといえます。価値のあるリソースは、企業が市場で成功を収めるために不可欠です。

2. 希少性(Rare)

リソースの「希少性」は、そのリソースがどれだけ独自であるか、他の企業が簡単に手に入れることができないかを示します。もし他社が同じリソースを容易に得られる場合、そのリソースは競争優位性を提供しません。逆に、希少なリソースを保有している場合、その優位性を活かすことができます。

ただし、希少性には時間的な限界があることを認識する必要があります。競争優位性を維持するためには、定期的にリソースを評価し、他社に模倣される前にそのリソースの優位性を活用することが重要です。

3. 模倣可能性(Imitable)

「模倣可能性」は、そのリソースがどれだけ他の企業によって模倣されやすいかを示します。もしリソースが模倣されやすければ、競争優位性は短期間で失われる可能性があります。反対に、模倣が難しいリソースは、長期的な競争優位を提供することができます。

模倣されにくいリソースには、特許、商標、独自の技術、ブランド力などが含まれます。また、模倣に高コストがかかる、または他社が簡単に手に入れられない場合、そのリソースは長期間にわたって優位性を保つことができます。

4. 組織(Organized)

最後に、リソースが価値があり、希少で、模倣されにくい場合でも、それを適切に活用するための「組織的な体制」が整っているかが重要です。企業はそのリソースを最大限に活用するために、適切な組織構造、管理体制、プロセスを整備する必要があります。

これには、リソースを活用するための明確な戦略や、柔軟で効率的なプロジェクト管理、チーム間の協力体制などが求められます。たとえ素晴らしいリソースがあったとしても、組織としてそのリソースを適切に活用できなければ、競争優位性は実現できません。

VRIO 分析のやり方3ステップ

「VRIO」の各要素を理解したところで、実際にVRIOフレームワークをどのように活用するかを見ていきましょう。VRIO分析を通じて、競争優位性を見極め、それを最大限に活用するためには、次のステップを踏むことが重要です。

VRIO分析は、定義分類分析の3つのステップで進めます。それぞれのステップについて以下で詳しく説明します。

まず、これらのステップを始める前に、評価対象となるリソースのリストを作成しましょう。全社から関係者を集め、ブレインストーミングを行うことで、共同で自社のリソースリストを作成することが効果的です。

(もしこのプロセスがスムーズに進まない場合は、SWOT分析を活用して、自社リソースの特定に役立ててください。SWOT分析の方法については、こちらのブログ記事で詳しく紹介しています!)

リソースのリストが完成したら、いよいよVRIOに進みます。

SWOT 分析 テンプレート
SWOT 分析の例(オンラインで変更するには画像をクリック)

1. リソースを定義する

リソースは通常、財務人材有形資産無形資産の4つのカテゴリーに分類されます。VRIOフレームワークを適用する前に、各リソースがどのカテゴリーに該当するかを確認しましょう。以下に、各リソースの種類を説明します。

  • 財務: これは資本、つまり会社が自由に使えるお金を指します。現金だけでなく、株式や債券なども含まれます。
  • 人材: 従業員が持つ知識やスキルといった、人材リソースを指します。
  • 有形資産: 施設、設備、材料などの物理的なリソースを含みます。ただし、有形資産は模倣されやすいリソースでもあります。
  • 無形資産: 特許やブランド認知度などの知的財産が含まれます。

2. リソースを分類する

リソースの定義ができたら、それぞれをVRIOフレームワークに当てはめて分類します。このプロセスでは、リソースを以下の4つのカテゴリーに分類します。

  • 競争力の均衡: 他社と同等の競争力を持つリソース。
  • 一時的な競争優位性: 短期間のみ優位性を持つリソース。
  • 未使用の競争優位性: 活用されていないが優位性を持つリソース。
  • 長期的な競争優位性: 長期にわたり優位性を維持するリソース。

VRIOプロセスでは、各リソースについて次の質問を順番に検討します。

  1. 経済的価値があるか: 「はい」なら次へ進みます。
  2. 希少性があるか: 「はい」なら次へ進み、「いいえ」ならそのリソースは競争力の均衡に分類されます。
  3. 模倣が難しいか: 「はい」なら次へ進み、「いいえ」なら一時的な競争優位性に分類されます。
  4. 組織内で活用されているか: 「はい」なら長期的な競争優位性に、「いいえ」なら未使用の競争優位性に分類されます。

3. リソースを分析する

リソースの定義と分類が終わったら、それらを詳細に分析します。分析の目標は、リソースを競争優位性に発展させることです。具体的には、現在のカテゴリーから上のカテゴリーに移行できるリソースを特定します。

特に、「未使用の競争優位性」に該当するリソースがあるかを確認します。これらのリソースを活用できる組織体制を整えれば、長期的な競争優位性に変えることが可能です。

とはいえ、未使用の競争優位性を長期的なものに変えるには、リソースに適したビジネス戦略の立案が必要です。戦略立案には時間がかかるため、社内の関係者と協力して、すべてのリソースをカバーする現実的な戦略を構築することが求められます。

VRIOフレームワークは、自社の分析に最適なツールです。しかし、競争は自社の外で起きていることも忘れてはいけません。市場での競争力を高めるには、競合他社のビジネスも分析する必要があります。そんなときに役立つのがSWOT分析です。VRIO分析で自社を分析した後は、SWOT分析を用いて競合他社との比較を行いましょう。

 

VRIO分析の例

ではVRIO分析の活用例を使って具体的にフレームワークを理解していきましょう。

マクドナルドのVRIO分析の例

McDonald VRIO Analysis in Japanese

まとめ:

  • Valuable(経済的価値): すべてのリソースは、市場機会を活用し、マクドナルドに価値を提供しています。
  • Rare(希少性): ほとんどのリソースは、他社が簡単には模倣できない要素を持っており、競争優位性を確保しています。
  • Imitable(模倣可能性): 大部分のリソースは模倣が難しく、特にブランド力や効率的なシステムは競合に真似されにくいです。ただし、店舗ネットワークや広告戦略は、他社にとって比較的模倣可能な部分もあります。
  • Organized(組織的準備): すべてのリソースにおいて、マクドナルドはそのリソースを効果的に活用するための組織的な準備を整えており、これにより長期的な競争優位性が維持されています。

結論:

マクドナルドの戦略やリソースは、競争優位性を維持するために重要な要素を含んでおり、強力な経済的価値を持っています。

スターバックスのVRIO分析の例

Starbucks VRIO Analysis in Japanese

まとめ:

  • Valuable(経済的価値): スターバックスのリソースはすべて市場機会を最大化し、顧客に高い価値を提供しています。特に、ブランド力、店舗体験、品質の高い製品は顧客に強い支持を受けています。
  • Rare(希少性): ブランド力や店舗の雰囲気、サードプレイスとしての位置づけなど、他社が簡単に模倣できない要素が多く、スターバックスは競争上の優位性を持っています。
  • Imitable(模倣可能性): 高品質な製品やサービスの提供は他社が模倣しやすい部分もありますが、店舗体験やブランド力、顧客との関係構築に関しては模倣が難しい部分も多いです。
  • Organized(組織的準備): スターバックスはそのリソースを効果的に活用するために、強力な組織体制を整えており、スタッフのトレーニングやサプライチェーン管理、デジタルプラットフォームなどがうまく統合されています。

結論:

スターバックスは、ブランド力や店舗体験、サプライチェーン管理など、競争優位性を支える多くのリソースを持ち、これらをうまく活用しています。特に、顧客に価値を提供するために必要な組織的準備が整っており、長期的な競争優位性を確保しています。

このように、VRIOフレームワークを用いることで、リソースがどのように競争優位性に貢献するかを明確にし、そのリソースをどのように活用すべきかを戦略的に判断できます。

では実践してみましょう!Lucidspark でVRIOを使った戦略計画セッションを行う方法をチェックしてみましょう。

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