24時間年中無休でいつでも使えるインターネット、ソーシャルメディアの活用、いつでも手元にあるスマートフォン。「つながり」を感じる機会には事欠かないのが現代です。
こうした環境にもかかわらず、従業員に求められるものの欠けている「ソフト」スキルの1位に対人的なコミュニケーションスキルが挙げられるのが現実で、こうしたスキルは、チームワークとパフォーマンスを強化する上で欠かせないものとして業界やキャリアレベルを問わず重要視されています。
対人スキルは、チームワーク、ひいては部門横断的なコラボレーションに欠かせない要素です。こうしたコラボレーションは自然発生することもありますが、役割や性格の違い、視点の不一致などを理由に、本来であれば最大のインパクトが望めるような局面であっても、生まれにくくなっているのが現状です。
部門横断的なコラボレーションとは?
部門横断的なコラボレーションとは、基本的な協業の枠にとどまらず、共通のビジョンやお互いへの信頼を前提に、プロジェクトにおけるメンバー全員の役割を認識した上で生まれるものです。メンバーが調和して一緒に働き、さまざまな視点を提供することで、チームとしての成果を高めることができます。
実際に、研究によれば、コラボレーションを重視するチームには共通の目標があるため、そうでないチームと比べて職場でのパフォーマンスが5倍も優れています。これに対して、部門横断的なコラボレーションが存在しない場合には、結果的に視野が狭まり、チーム間で停滞が生まれる可能性もあります。デザイン思考の概念は、均一性の高いグループから均一な思考が生まれると仮定するものですが、裏返せばこれは、課題への対応策が近視眼的になりやすいということでもあります。
例えば Airbnb では、新たな顧客エンゲージメント戦略の構築に際し、CEO の Brian Chesky 氏が Pixar のアーティストに Airbnb の顧客サイクルを最初から最後まで描いてもらうという大胆な決断を下しました。こうしたコラボレーションを通じ、同氏はチームにインスピレーションを与えるリソースを提供することに成功しました。大枚の文書やスプレッドシートではこうはいかなかったでしょう。
部門横断的なコラボレーションには、組織全体での継続的改善と確かな変化を後押しするだけの力がありますが、言うは易しで、実践はそう簡単ではありません。
職場での部門の壁を超えたコラボレーションが難しい理由
最近のある研究では、企業幹部、従業員、教員1,400人以上に対し、職場に巣食うコラボレーションの課題を尋ねました。以下のような回答が主な課題として挙げられました。
- 不十分なコラボレーションと非効率なコミュニケーションが職場での失敗を生むと 86% が回答。
- 意思決定者は最終決定を下す前に他の意見も取り入れるべきだと 90% が回答。
- チーム内での共通認識の欠如がプロジェクトの 成果に影響を及ぼすと 97% が回答。
従業員がコラボレーションに乗り気でない最大の理由のひとつに、インセンティブがないというものがあります。活発なコラボレーションが推奨されている職場では、担当のタスクに従業員が取り組む時間が一人で働く従業員に比べて64% も長くなります。
積極的にコラボレーションするチームメンバーは、士気が高く、疲れも感じにくくなり、成功の確率も高まります。また、回答者の 33% が他のメンバーと一緒に働くことで愛社精神も高まると回答しており、どれもポジティブな面といえます。
部門横断的なコラボレーションは取り掛かりが難しいようにも思えますが、試してみるだけの価値は十分にあります。ちょっとした働きかけでコラボレーションが花開くことも少なくありません。
部門横断的なコミュニケーションでコラボレーション文化を促進
従業員が共に生き生きと働ける環境を作るには、時間がかかります。職場での部門横断的なコミュニケーションをスムーズに進めるには、すべてのチームがひとつの目標を共有し、それに向かって進む姿勢が欠かせません。また、経営陣がチームワークを重視していることを従業員に伝えることも大切です。
一部の従業員の要望にかき 消され、チームワークが軽視されてしまうことも多々あります。
例えば、管理職の中には、有能な人材を採用し、その人材の満足度を維持するために総力を挙げる人もいます。
ただ、現実には、高いパフォーマンスを実現する人材は、同僚と意義あるつながりを築き、社の意思決定者との関係を強化できるコラボレーション重視的な文化を好み、透明性が高く、信頼できる上司の下で働きたいと考える傾向にあります。
部門横断的なチームを率いるリーダーには、目標と優先順位を明確に示し、チームの業務が大局的に及ぼす影響を背景を絡めてメンバーに説明することが求められます。ひとつのビジョンに向けて共に進むことで、協働の姿勢が自然にできあがります。
士気の高い従業員とスムーズなチームワークからは大きな成果が期待できます。
部門横断的なコラボレーションの機会提供で職場を活性化
会社の成功のためにはどんな形のチームワークも大切ですが、部門の壁に囚われないコラボレーションには、社内プロセスを合理化し、生産性を向上させる働きがあります。
従業員が共に助け合うことで、自分らしいスキルや継続的な発言を皆が認められていると感じられる土壌が育まれます。従業員の満足度が高まれば、企業文化に好影響を与えるだけでなく、人材定着率も高まり、永続的な変化が生まれます。
実際に、コラボレーションを重視する組織では、部門横断的なスキルの定着にとどまらないメリットが認められており、こうしたコラボレーションには以下のようなプラスの面があるとされています。
- 社内でのイ ノベーションを触発する。逆説的にも思えますが、分野やスキルレベルが異なるチームからメンバーを集めることで、パフォーマンスを改善することができます。さまざまな背景や多彩なアイデアを取り込めば、創造的な問題解決につながり、イノベーションの生まれやすい職場環境作りにも好影響です。
- 共同での学びに役立つ。それぞれの知識を共有し、一緒に働く機会が与えられると、従業員の学習意欲が強まり、互いに学び合ってスキルセットを拡げていく傾向が生まれます。コラボレーションにはインプットが必要なため、部門間のつながりもまた強化されます。
- 職場での共感が生まれやすくなる。複数の部署間でのコラボレーションを進めることで、従業員に部外者の視点から状況を把握する姿勢が生まれます。共通の課題に一緒に取り組めば、お互いの心身の健康にも目を向け、その向上に向けて努力できるようになります。
- 共通の言語が生まれる。部門の壁を超えて協働することで、専門用語を共有したり、過去の出来事を振り返って時間をかけずに伝えたいことを伝えられるようになり、コミュニケーションの曖昧さがなくなります。ムダな時間をかけずに複雑なコンセプトを伝えるには、単純な言葉や表現を選ぶのも効果的です。
- 同僚間での信頼を育む。部門横断的なコラボレーションは、階層の壁を壊し、部門間の緊張を緩和し、仲間意識を育てます。お互いへの信頼が増せば、話し合いもスムーズに進み、より一体感のあるチームとして団結できるようになります。
部門横断的なコラボレーションには、職場を変える大きな力がありますが、組織にとって最適な方法を選ぶには、時間をかけていろいろと試してみることが大切です。また、いくらメリットが大きくとも、コラボレーションの無理強いは避けましょう。従業員が自律的に仕事に取り組むには、まずは役割と責任範囲を明確に定義し、説明することが重要です。

コラボレーションを推進し、コミュニケーションを改善してリモートワークのチームのやる気を保つためのヒントやコツをご紹介します。
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